「死にたい」くせに「死にたくない」
「辛い」「苦しい」
その心はわかってもらえても、ネットや本でかき集められた情報しか持ち合わせていない健常者が、双極性障害を持つ者の倦怠感や辛さがどのようなものであるかはわかるわけもない。
ましてや延々と続くこの病気に対する絶望感などわかるはずもない。
そう考えているとき、希死念慮の強い私はふとこの人生から逃れたくなり、
「消えたい」
と、そう思ってしまう。
「消えたい」と言う言葉は「死にたい」とは違う。
死んでしまうことは、私を心から大切に身守ってくれている人たちを悲しませ、自分を責めさせるだろうからだ。
でも「消える」のは初めから私の存在などなく、皆の頭には私の記憶なんかない、そんな感じだ。
なら、皆を悲しませることもない。
でもそんなこと空想の世界で、実現不可能な話だ。
消えることが不可能なら、やはり行き着く先は「死にたい」そんな感情に流されそうになる。
人生をリセットしたいと思う。
でもなぜか「死にたい」そう思うことがあっても、心のどこかで「死にたくない」という気持ちがまだあるのだ。
ずっとこんな病気を背負った人生でも、鬱状態ばかりの日々でも「死にたくない」と思うのだ。
別に奇跡とか考えてるわけではない。
画期的な治療法がこの先訪れるのを待っているわけでもない。
この病気は自殺率No.1の病気だとよく聞く。
今の苦しい状態、この先の人生への絶望感だけじゃなく、働くことができず生活するのさえ一杯一杯の人もいると思う。
でも私はそんな決断ができない。
大切に思ってくれている人たちの存在だけでなく、絶望感に押し潰されそうなのに、鬱状態が延々と続く中でも。
死にたいなら確実に死ねる方法があるのにそれは試みない。
行動にうつすなら死なない程度のアクションしか思い浮かばない。
生にしがみつこうと思う私がいる。
「死にたい」くせに「死にたくない」と思う、この矛盾した感覚が、いくら考えてもわからない。
そして本当に自ら命を絶つ人の気持ちもわからない。
（懐古録 2018/7/26）
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